教育の営みを日本古代に探る試みは必ずしも活発ではない。それゆえこの分野の研究を進めるためには広く古代史全般の研究動向を踏まえる必要がある。戦前には、福島政雄『日本教育源流考』や羽渓了諦『仏教教育学』など、聖徳太子を中心とする人物研究や仏教教育に関する研究が盛んであったが、戦後になると、いわゆる大学寮研究が古代教育史研究の中心的課題をなすようになった。その代表的研究書には、桃裕行『上代学制の研究』と久木幸男『大学寮と古代儒教』などが挙げられる。その後、桃は『上代学制論攷』を、久木も前者を前面改訂して『日本古代学校の研究』を著している。 これら以外では、子ども観や子どもの生活全般に関心を向けた研究として、桜井庄太郎『日本児童生活史』、石川謙『我が国における児童観の変遷』、久木幸男編『夜明けの子ども・日本子どもの歴史1』、服藤早苗『平安王朝の子どもたち』などが挙げられる。
また当時の教材に関心を寄せたものに、尾形裕康『我国における千字文の教育史的研究』、石川謙・石川松太郎『日本教科書大系 古往来(一)』などがある。
石川謙『我が国における児童観の変遷』振鈴社、1948年。
石川謙・石川松太郎『日本教科書大系 古往来(一)』講談社、1968年。
尾形裕康『我国における千字文の教育史的研究』校倉書房、1966年(1998年復刻版、大空社)。
桜井庄太郎『日本児童生活史』刀江書院、1941年(1982年復刻版、日本図書センター)。
羽渓了諦『仏教教育学』大東出版社、1936年。
福島政雄『日本教育源流考』目黒書店、1936年。
服藤早苗『平安王朝の子どもたち』吉川弘文館、2004年。
久木幸男『大学寮と古代儒教』サイマル出版会、1968年。
久木幸男編『夜明けの子ども・日本子どもの歴史1』第一法規、1977年。
久木幸男『日本古代学校の研究』玉川大学出版部、1990年。
桃裕行『上代学制の研究』目黒書店、1947年(1983年復刻版、吉川弘文館)。
桃裕行『上代学制論攷』(『桃裕行著作集』第2巻、思文閣、1993年)。
责任编辑:玲儿